QMTに関するストーリー

【主任】課長〜 YZ事業部の事業部長から電話ありましたよ。

【課長】そう...怒ってなかった?

...ん〜〜 脳味噌が煮えたぎってるけど、関係ない人間に怒鳴り散らすわけにもいかないから、受話器握り締めて我慢してるって感じでした。あと声が裏返りそうになるのを必死に我慢してました。

なんで、そんな細かいことわかるんだよっ!

あそこの事業部長ってキックの鬼の沢村忠に似た怒りっぽい人でしたよね。

そうだよ。

課長 何かしたんですか?

別に何もしてないよ。

何もしてないのに、何でキックの鬼が脳味噌茹で上がった状態で電話かけてくるんですか?

面倒だな〜。こっちの問題じゃないんだけどな。

課長〜 教えてくださいよ〜。キックの鬼が怒ってる理由。

主任さんには関係ないだろ。

関係ありますよ。僕もキックの鬼と仕事する機会があるかもしれないじゃないですか〜。そう言う業務に関連する情報はみんなで共有するべきだと思います。

じゃあメンバー集めて全員に言うよ。

広報活動は私にお任せください。まずは私だけに情報のシェアをお願いします。

面白おかしく人に話したいだけだろ!

そんなことはよしとして、キックの鬼はなんで怒ってんですか?

事業部長が肩入れしてる新規事業に追加の投資をするためにバリュエーションを依頼されたんだけどね...まぁもともとあった一点読みの計画なら3年で回収できるって話だったんだけど、不確実性を考慮して5年のNPVで判断すると70%程度の確率で、投資したケースが投資しないケースを下回るんだよ。その結果を経理部長がいる前でプレゼンしたんで怒ってるんだと思うんだけどね。

じゃあ、投資はされずに新規事業は撤退ってことですか?

いったん投資の判断は保留にして、ある条件が成立するかを見極めて、1年後に判断をするのがNPVの期待値は最大になるけどね...

そうしないんですか?

事業部長の任期が切れるんだってさ。

アホ臭いですね。

まあ、アホ臭いことのほうが多いからね。この手の仕事やってると。

ところで、そんな分析どうやってやってるんですか?

エクセルでモデルを作ってやってるよ。

エクセルってそんな機能ありました。

エクセルはスプレッドシートだから、やろうと思えば何でもできるよ。主任さんの質問は、「この紙に犬の絵を書くことできましたっけ」っていうのに近いよ。

どうして、そう、人の心を逆撫でするような表現をするんですかね。まったく。

心を逆撫でするような表現のほうが理解しやすいんだよ。

要するにエクセルを使って計算してるってことですよね?

そうだよ。

でも、エクセルなんか使うと自由度がむちゃくちゃあるから、人によって作り方が全然違っちゃいますよね。案件によっても全然違う構造のシートになるし、リスクなんか取込もうと思ったらえらく複雑になるし...さらに、凝った分析なんかしようものなら、人が作ったシートなんか絶対理解できないでしょうね。

そんな悩みを解決してくるマクロがあってね...

あっ!やっぱりなんか隠してた!

別に隠してたわけじゃないよ。

でっ! それはどんな代物なんですか?

QMTって言ってね、ビジネスのシミュレーションモデルを作る支援をしてくれるエクセル用のマクロだよ。

QMTさんはどんな支援をしてくださるんですか?

基本になる時系列データを生成してくれるよ。初期値とか変曲点とか最終値を設定すると間の期間を内挿する式を作ってくれる。直接入力すると数字を変えたりするのが大変だけど、式を作ってくれるから不確実性を設定できるよ。あと、一定の成長率で成長する式や、普及率などで使うS字カーブも設定してくれる。

ほぅ。私は時系列データを複数用意して切り替えて使ってましたが、いくつかの数字をいじって時系列データのパターンを変えるんですか。

数字の入力は、不確実性の幅も入力できるダイアログが出てくるから簡単だよ。

他にはどんなことしてくれるんですか?

今説明した基本になる時系列データや、時系列データ同士を計算した結果をバブルって呼ぶんだけど、バブルの計算式を編集する機能もあるよ。それでモデルの構造を記述していくんだけどね。まぁ、市場のバブルとシェアのバブルをかけて販売数のバブルを作る、ぐらいの話なんだけどね。

なるほど、バブルを組合わせていって、利益やキャッシュフローを計算すればいいんですね。

そうそう。それだけだと不確実性を扱ったことにならないんだけど、QMTにはバブルに設定した不確実性について感度分析する機能があるから、影響が大きい不確実性項目を抽出できるよ。それで抽出された重要項目について、設定された確率をかけて確率分布も計算してくれるから、目的の数字のリスクを知ることができる。

盛りだくさんじゃないですか。

他にも色々サポート機能はあるけど、基本的にはこんな感じかな。めんどくさいことはマクロがやってくれて、事業の構造を作りこむことに集中できるよ。あと、マクロを使うことによってフォームが決まるから、他の人が作ったモデルも読みやすくなるかな。

そんなツールがあればリスクの分析なんか簡単にできますね。

そんなことはないよ。事業のリスクをモデルに落とし込むにはセンスがいるよ。センスのない人間が作ると、違う種類のリスクを混ぜてしまったり、同じリスクを分けてしまったりして、正しい分析ができなくなる。

ふ〜ん。まぁそのへんのセンスは、どっちかと言うとあるほうですから、大丈夫ですよ。それに、どっちにしたって、センスのない人間はいいモデルは作れないんだし、ツールを使うことによってセンスのある人間が駄目なモデルを作るようになるわけじゃないんだから、使えばいいんですよね。

....驚異的に生産性が上がるから、センスのない人間が勢いに任せてメガモデルを作るようになる。

別に実害はないじゃないですか。

ものすごくあるよ、でたらめな数字が恰も正しいような化粧をして出てくるから現場が騙される。だから、センスのない人間には紹介しないようにしてるんだけどね...

それはそうですね〜。絶対教えるべきではないと思います。センスのない人間には。だから早くください。

........

僕なら大丈夫ですよ。

主任さん、その方面のセンスがあるようには見えないんだけどね〜。

センスが有るか無いかについては議論の分かれるところかも知れませんが、僕はツールがあっても、なくても、力尽くのモデルを作って現場を混乱させてますから、with/without の比較でいけば確実にプラスです。

....いやなロジックだな〜。