【主任】しかし、疲れましたね〜。

【課長】あぁ、疲れた。

カテゴリー毎の縦通し利益のデータ集めるのに3時間もかかるとは思いませんでしたよ。

まぁあんなもんだろう。

でも、どうやってマネージメントしてるんでしょうね。あそこの事業部。

あんたの言うところのマネージメントってのがなされているとするなら、売上で管理してたんだろうな。多分。

でも、最近社長はキャッシュフロー経営だ!って言ってますよね〜。

キャッシュフロー経営だ!ってかけ声かけてキャッシュフロー経営になるんだったら苦労しないよ。管理指標のインフラがないんだから、現場としてはどうしようもないね。

とりあえず、管理指標の『見える化』が必要ですね!

.....

とりあえず、管理指標の『見える化』が必要ですね!

.....

とりあえず...

うるさい!聞こえてるよ!流行の言葉をでっかい声で何回も言うなよ。かっこ悪いから。それに使い方がすこしずれてるよ。

どうしてですか、見えてないものを見えるようにするんだから『見える化』じゃないですか。こんな簡単なビジネス用語は最近珍しいですよ。

そもそも、見えていなければいけない人が、見えてないから、見えるようにするのは、当たり前すぎて流行る必要ないだろ。最近の『見える化』って言うのは、今まで見る必要がなかった人たちに情報を見せることによって現場での判断や問題解決のパフォーマンスをあげることだよ。

へぇ〜〜。それは初耳でございますね〜。

初耳って、そのへんのことは最近本屋で平積みになってるあの青い本に書いてあるよ。もしかして、本も読まずに勝手に使ってたんじゃないの。

いいんですよ言葉はフィーリングですから。それより、さっき課長が言ってた、課長流の『見える化』ってのはどう言う事ですか?

世間の『見える化』だよ! 何年か前にNHKでアメリカの陸軍の特集番組をやってたんだけど、それまで、戦場の情報を一箇所に集めて、偉い人が意思決定して、指示を前線に送っていたらしいんだけど、それでは、戦場の早い変化や局所的な変化に対応できないので、最前線の兵士にITツールを使って周辺の情報を見えるようにして、現場で適切な判断をさせるらしいよ。これなんかは『見える化』の典型的な例だと思うけどね。

すみません。陸軍にいたことがないんで例がよくわからないんですけど。

あなたの思考回路にはアナロジーって機能はついてないのかな? 製造現場の話はよくわからないけれど、商品企画であれば、マーケットの状態や競合の状況を見るのは当たり前だろ、でも工場の設備の償却状況や、金型の取り数、流通在庫、運送効率なんかの情報が見えるようになれば、いろんなコストダウンの手が打てる商品が企画できる。

なるほで。

なんだよ、『なるほで』って。

察してくださいよ。『なるほど、それで』って意味に決まってるじゃないですか。

日本語を汚すなよ。他にも、営業の人間に、製造原価や工場の稼動状況を見えるようにすれば、ボリュームディスカウントの最適化に関する意思決定を前線でできるようになる。

ITが進化しているから全ての情報を全ての人間に見せればいいじゃないですか。

これは技術の問題じゃないよ。製造サイドは、営業に原価の情報を教えると、ギリギリまで値下げするんで粗利が残らないって思ってるよ。

要は、相手のことを信用できなければ、見える化なんか実現しないってことですか?

そう言うこと、製造が営業を信用する。マネージャが前線を信用する。経営者が従業員を信頼する。そんな構造ができて初めて見える化が進められる。

私は課長のことを信用してますから全てを見せられますよ。

見たくないよ。

見てくださいよ。特にこの辺を。

馬鹿! 会社でそんなものを出すんじゃない!

じゃ〜 会社の外で見せてあげます。

だから、見たくないって!!

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