【主任】課長〜ブックマークの見せあっこしませんか?
【課長】…嫌です。
ブックマークを見るとその人の人柄がわかるといいますよ。
そうは思わないけど、仮にそうだとしても嫌だよ。
なんか凄く役に立つサイト隠してるんじゃないですか? 会社のために共有しましょうよ。
【主任】課長〜ブックマークの見せあっこしませんか?
【課長】…嫌です。
ブックマークを見るとその人の人柄がわかるといいますよ。
そうは思わないけど、仮にそうだとしても嫌だよ。
なんか凄く役に立つサイト隠してるんじゃないですか? 会社のために共有しましょうよ。
【課長】主任さん夕べは大活躍だったみたいだね。
【主任】どの件のことでしょうか?
そんなに活躍することないと思うんだけど…経理の女子との合コンの件だよ。
あ〜その件ですね。定期的に経理部の女子とは合コンをしています。経理部と経営戦略企画室との中の悪さから、『ロミオとジュリエットの会』と呼ばれています。
ネーミングセンスには言及しないけど、『定期的な合コン』って言う時点で個別の付き合いに進展してない事が窺われるね。
【主任】あっ! 揺れてませんか?
【課長】…ん?…揺れてないと思うよ。主任さんの気のせいじゃない。
そうか、気のせいか…
…
あっ…揺れてるんじゃないですか?
だから、気のせいだって。
【主任】この前、課長からリアルオプションの話を聞いたのでこの本を買ったんですけど...
【課長】へぇ〜主任さんが本を買うなんて珍しいね。
こんな本、図書館には置いてませんからね。
その本面白いでしょ。
さっぱり理解できませんでした。リアルオプション。
【主任】GR事業部のT事業部長が更迭されるの知ってます?
【課長】へぇ そうなんだ。
2年前に二つの事業部で成果を上げた後、自信満々で着任したんですけどねぇ。
先の二つの事業部のときは市況が良くてどっちかというとラッキーだったんだよね。
手腕が買われたわけじゃなかったんですか?
【課長】主任さん、おはよう。
【主任】あ〜ぁ、課長、おはようございます。
なんか、部署の雰囲気が暗くて澱んでる感じがするんだけど…気のせいかなぁ?
気のせいではない…と思いますが…
どっかの会社にTOBでもかけられたの?
…課長、今、何月ですか?
【主任】課長、聞きました?
【課長】いいや。
まだ言ってませんよ。
じゃぁ早く言えよ。
なんか会話のキャッチボールがしっくりこないな〜 最初からやってみていいですか?
取り敢えず、暫く独りで壁を相手に練習してから来てくれるかな?
【課長】主任さん、さっきからコンピュータに張り付いて何か調べてる見たいだけど・・・何見てるの?
【主任】社内のアドレス帳ですよ。
ふ〜ん。それにしてもえらく長い時間、熱心に調べてるねぇ。誰のアドレスを調べてるの?
アドレスを調べてるわけではありません。
じゃあ、何を調べてるの?
兼務のほうをちょっと…
【主任】…これはいらないな…これもいらない…これも3年使ってないし…この件ももう時効だな…この資料が必要になったら課長にもらえばいいんだし…
【課長】絶対、あげないからね。
あれっ? 聞こえてました?
聞こえるもなにも、部署中の人間が注目してるよ。さっきお茶室に行ったら、主任さんが会社を辞めるんじゃないかって、女子社員が嬉しそうに噂話をしてたよ。
【主任】課長…今頃どうしてるかなぁ…すごく厳しくて冷たい物言いをする人だったけど、たま〜に優しいことをいう時もあったし、簡単で自明なこともやたら理屈っぽく考える人だったけど、役に立ったことがないこともなかったし…みんなはどう思ってたか知らないけど、僕は嫌いじゃなかったなぁ…この星の何処かで生きていてくれたらいいんだけど…無理かもなぁ…
【課長】おいっ!
課長のこと思い出してたら、課長の声が聞こえたような気がしたけど…もしかして課長の身に何か…
おいっ! 朝っぱらからいいかげんにしろっ! 何、勝手な物思いに耽ってんだよっ!
えっ……… か、課長じゃないですかっ! 今までどこに行ってたんですか、連絡もなしにっ!